結論から言えば・・・
結論から言えば、必要とされるレベルはいくつかの環境や条件によって異なります。ただ、私の考えは、「コンサルタントとして働く限り、ファームで求められようが求められまいが、できるだけ英語でのコミュニケションスキルを上げておくべき」です。
その理由は、単純明快で、「コンサルタントとしてのオパチュニティーが広がるから」です。これには、2つの意味があります:
➀1つめです。今後、小学校で英語教育が広がり、ある程度の英語が話せることが”普通”となる日は遠くありません。(20年前の”コンピュータースキル”に似ています)ある程度英語が話せる社員が増えてくると、英語が話せないことはマイナスとなり、淘汰(Eleminate)されてしまいます。(これも、”コンピューター・スキル”と同じ。また、例えば、フィリピンではこうした”淘汰”は起きています)その時にあわてても、「時すでに遅し」です。
「でも、ある程度英語が話せる人たちが職場で増えるのは、ずっと先だと思う」と言われる方もいらっしゃると思います。それは正しいかも知れません。あるいは、その日はもっと早く来るかも知れません。もし前者が現実だとしても、後者を前提として着々と準備する人があなたのライバルの中にいるかも知れません。あなたは彼らと競うのです。どうしますか?
②2つめです。➀は、ちょっと脅迫的(Threateningな)トーンになってしまいましたが、英語でのコミュニケーション力があると圧倒的にプラスが多いです。今後益々海外関連のプロジェクトが増える中、英語が話せれば裁量も広がるし、新しい知識やテクニックを学べる機会も多く与えられます。そして、昇格にも有利です。従って報酬も高くなる傾向があります。
日常業務においても大きなベネフィットがあります。英語での検索だと日本語の数百倍の情報量が得られます。
以上が、これまでの日米での経験に基づいた私の意見ですが、下記では、求められる英語でのコミュニケーション・スキルを環境や条件別に解説します。
環境・条件別 求められる英語コミュニケーション・スキルのレベル
アサインされたプロジェクトによる違い
あなたがアサインされたプロジェクトがクロスボーダー系だったり、PM(プロジェクト・マネージャー)が日本語が話せなければ、もちろん、プロジェクト内での共通言語は英語になります。
ただ、上記のようなケースでなくてとも、リサーチを英語で行うことができれば、日本語の場合と比べて数百倍の情報を得ることができます。
この環境/条件で必要とされる英語スキル(必要とされる順):( )内は、必要とされる主な場面
- シンキング(全ての場面)*私が考える”5つめの言語コミュニケーションスキル”です。コンサルタントには特に必要です。
- リーディング(メール(社内外)、リサーチ、資料の理解)
- ライティング(メール(社内外)、資料の作成)
- リスニング(電話、ミーティング(社内外))
- スピーキング(電話、報告、ミーティング(社内外)、プレゼン)
ジョブタイトルによる違い
外資系ファームなら、タイトルが上がってゆくに従い、それなり英語力も求められます。プロジェクトで必要になる可能性が高いのはもちろんですが、海外のオフィス、あるいは本社(私の場合は、多くはアメリカ)とのやり取りをする必要があるので、「英語ができることはプラス」ではなく、「英語ができないことはマイナス」となってしまいます。
もちろん、日系のファームは少々話が異なります。海外オフィスがあっても、日本本社から人を派遣したり、日本語がある程度分かる人を採用するからです。そうは言っても、英語で仕事ができること自体、益はあっても害はゼロです。
この環境/条件で必要とされる英語スキル(必要とされる順):( )内は、必要とされる主な場面
- シンキング(全ての場面)
- リーディング(メールで、リサーチ、資料の理解)
- ライティング(メールで、原稿の執筆(もちろん、部下のアシストはあるものの))
- リスニング(電話、ミーティング、コンファランスなどへの出席やプレゼン)
- スピーキング(同上)
本社や他の(海外)オフィスとの関係による違い
主に外資系ファームの話です。海外オフィス同士の関係は、そのコンサルティング・グループの志向や文化によりかなり異なります。以前、「デロイトは、アメリカ本社のコントロールが非常に強く、日本のオフィスでの業務の進め方にもその影響が強く現れている」と言われていました。ただ、トップが変わったり、ガバナンスのストラクチャーが変われば、本社や他の(海外)オフィスとの関係も変化します。それでも外資系と呼ばれるファームでは、一部のオフィシャルな資料や規程が英語で記されている場合もあります。インフラが本社主導で導入されている場合は、特にその傾向が強いです。
また、グローバルファームであれば、海外オフィスからExpat(駐在員)が送られてくることがあります。短期の場合も長期の場合もありますが、多額の費用をかけて送って来るからには、任務、肩書もそれなりです。もしあなたが積極的に彼/彼女に話しかけ、関係を築くことができれば、その後のあなたのキャリア・オパチュニティーにプラスをもたらします。
上記のような大きな話でなく、身近な場面を考えてみましょう。英語でのコミュニケションができれば、他の海外オフィスの専門家の知恵を借りることもできます。私の経験では、海外のメンバーは、直接会ったことがなくとも事情を説明すれば気軽に手を貸してくれることが多いので、日本にはない発想や情報を得るのに重宝します。異なるアイデアはイノベーションを生むので、私は海外のメンバーとできるだけ意見交換をするようにしています。
この環境/条件で必要とされる英語スキル(必要とされる順):( )内は、必要とされる主な場面
◆ 海外から来たExpatと関係を作る場合
- シンキング(全ての場面)
- リスニング(会話、ミーティング)
- スピーキング(会話、ミーティング)
- リーディング(メール、リサーチ、資料の理解・・・親しくなれば、仕事を依頼される可能性も)
- ライティング(メール、資料の作成・・・同上)
◆ 海外オフィスのメンバーと関係を作る場合
- シンキング(全ての場面)
- リーディング(メール、資料の理解)
- ライティング(メール、資料の作成)
- リスニング(電話、ミーティング)
- スピーキング(電話、ミーティング)
あなたが働くオフィス~海外オフィスで働く場合
あなたがアサインされたプロジェクトでたまたま短期間、海外オフィスに派遣されることもあるかも知れません。あるいは、社内の「海外オフィスへの派遣制度」を使い、海外オフィスに送られるかも知れません。もしそんな機会があれば、是非、受け入れて下さい。間違いなく、あなたのキャリア・オパチュニティーは、大きく開かれます。
ただ(笑)、現実には、英語環境で働いて”使いモノ”になる(本当の意味で現地のオフィスに貢献できる)には、相当の英語コミュニケーションスキル(5つ全部!)が必要です。高いに越したことはありませんが、残念ながら、TOEICのスコアはあまり役に立ちません。例えば、満点を持っている人でも、アメリカで仕事をするには不十分です。私も最初のうちは諦めそうになったことが何度もありました。サバイブするには、それなりのトレーニングが必要です。(手前みそ 笑)
この環境/条件で必要とされる英語スキル(必要とされる順):( )内は、必要とされる主な場面
- シンキング(全ての場面)
- リーディング(メール(社内外)、リサーチ、資料の理解)
- ライティング(メール(社内外)、資料の作成)
- リスニング(電話、ミーティング(社内外))
- スピーキング(挨拶、電話、報告、ミーティング(社内外)、プレゼン)
まとめ
コンサルタントに必要とされるレベルの英語コミュニケーションスキルは、次のような環境や条件によって決まります:
- ジョブタイトル
- アサインされたプロジェクト
- 本社や他の(海外)オフィスとの関係
- あなたが働くオフィス~海外オフィスで働く場合
ただ、私の経験からは、是非、英語コミュニケーションスキルを絶えず向上させ、来るべきチャンスを捉えて頂きたいと思います。
- ご質問やコメント、アイデアなど、お持ちでしたらどうぞお気軽に!