日本でも今後更に盛んになりそうなこのFIRE Movementについて、３パートに分けてお伝えします。

Part 1をまだお読みになっていなければ、是非チェックしてみて下さい。

Part 2：ギグエコノミーと多様な種類のFIREたち

Part 3：意外とできそうなFIREの実践方法

ミレニアルの自律を助けたのはITとギグエコノミー

「自律的な働き方をしたい」というMillennialsの意思と環境がみごとに一致したのも、FIREが広まった“十分条件”の一つだったと思います。テクノロジーです。インターネットの発達とプラットフォームの増加により、会社に属さなくても収入を得る手段が整いました。いわゆるギグエコノミー（Gig Economy）の誕生です。

仕事を探すには、FiverrやUpwork、そしてFreelancerなどの他、特定の職種に特化したプラットフォームが数限りなくあります。また、Offlineでも、UberやLyft、Door DashやUber Eatsなどに参加すれば、自分の時間が空いているときだけ収入を得ることが可能です。

その他、Udemyを使ってオンラインコースを売ったり、YouTubeの広告収入を得たり、Patrionを加えたりとGig Economyのチャネルは無限に存在します。オンラインですから、仕事は国内外から探すことができます。

多様なFIREs

FIREを実践している人たちは多くいます。ただ、皆が同じことをしているわけではありません。下記のように、おおよそ５種類のFIREがあります。（なぜ、“おおよそ”なのかと言うと、人によっては多少異なる区分をすることもあるし、時間によってシフトして行くからです。）

FIRE (Regular or Traditional)
Lean FIRE
Fat FIRE
Barista FIRE
Coast FIRE

FIRE (Regular or Traditional)

FIREという単語を使ったとき、最も一般的に起想される概念です。（または、あらゆるFIREの総称で使われることもあります。）

つまり、FIREしようとするGoal yearまでアグレッシブに働き目標額を貯め、仕事を辞めます。その後は、多少つつましい生活をして、自分（と家族）中心の生活を楽しみます。物価の安い国に居を移すことも頻繁にされます。

例えば、日本とフィリピンの物価の差は、（大まかに言うと）３：１くらいですので、日本での１０００万円は、フィリピンでの３０００万円の価値を持つというわけです！

Lean FIRE

Lean、つまり、「ちょっと細め」のFIREです。何が「細め」かと言うと、FIRE後のBudgetのことです。FIRE前と比べて、ちょっとご予算抑えめで生活しましょう、ということです。なぜ、そんなことを？早くFIREを実現したいからです。

例えば、日本でなら年間４００万円くらいで生活するのは、全く可能なことです。じゃあ、２００万円なら？そうです。FIRE (Regular or Traditional) のところで書いたように、海外の特定国なら可能です。アジアなら、ホームシックにかかってもすぐに日本に戻って来られるので安心です！（笑）

Konmariなどによって人気に火がついたミニマリズム（minimalism）という概念とLean FIREは、ちょうと良くマッチしました。そのお陰もあって、Lean FIREの方も広く受け入れられるようになったかも知れないですね。

Fat FIRE

これは、説明不要かも知れないですね！上記のLean FIREの反対です。

平均を取ってみると、アメリカの一年間の出費（annual expenditure）は、＄６１，０００程度です。なので、FIRE後にこの額よりも多く出費すれば、Fat FIREに分類されるかも知れないですね。ただ、実際のFat FIRE実践者を見てみると、年間＄１００，０００くらいのバジットを想定しているようです。（またまた、RedditにCommunity発見！）

おそらく、Fat FIRE実践者は、FIRE後もFIRE前の生活水準を維持したい／できる人たちなのでしょうね。それには、FIRE後も収入がそれなりのレベルを確保している必要性がありますが、どんなカラクリ（笑）なのでしょうか？

Barista FIRE

貯蓄（Savings）から入って来る収入だけで生活できなくもないけれど、その金額だけで生計を立てるにはちょっと心もとない。じゃあ、どうするか？バイトをしよう！というわけで、StarbucksでBaristaをやるわけです。だから、Barista FIRE！Starbucksじゃないいとだめなの？もちろんそんなことはないのですが、特にアメリカなら、Starbucksがお勧めです。なぜか？これを理解するには、アメリカの健康保険制度についての知識が必要です。ちょっとだけ辛抱して読んでみて下さい。

アメリカには、日本のような政府主導（government-sponsored）の健康保険がありません。保険会社が提供するもののみです。政府の補助がないから、ものすごく高いです。例えば、夫婦と子供２人が１年間に支払う保険料は、大雑把に言うと年間３００万円くらい。１ヶ月にすると、２５万円くらいです。（オバマケアなどを使っても）日本の数倍の費用を支払うことになります。どうですか、信じられますか？一方、企業で働いていれば、その企業が補助してくれるので、金額はかなり低くなります。

お待たせしました！（笑）

ここでStarbucksの登場です。Starbucksは、アルバイト（Part time）であっても、勤務後の３ヵ月間に２４０時間以上勤務すれば保険の補助をうけられるようになります。これが理由で、Barista FIREという名前ができました。

Coast FIRE

人によっては、FIREの種類にCoast FIREを含めない人もいるかも知れません。一見、Traditional FIREとあまり変わらないように見えるからです。その理由を理解するためには、Coastの意味を説明する必要があります。Coastは、名詞としての意味は、「海岸」ですが、動詞として使われると「惰性で楽に動く」（move easily without using power）のような意味になります。つまり、「一定額の貯蓄を達成したらFIREを開始、その後は巡航速度でこの世から去るまでファンドを使いましょう」という趣旨です。

Pre-FIREとPost-FIREの貯蓄と出費の特徴から、FIREは次のように分けられます：

FIREの実例

ミレニアルの心理やデジタルインフラの整備など、必要条件と充分条件がそろい、FIRE Movementは、ますますポピュラーになっています。ここでは、比較的若い人の例、ちょっと年上の人の例、そして家族でFIREを実現した例をご紹介しましょう。

Kristy Shen and Bryce Leung

（写真の最も左と右に、遠慮がちに写っているのがKristyとBryceです）

「火（FIRE）のあるところにKristyとBryceあり」（こんなダジャレことわざ聞いたこと無いですね！笑）と言われるくらい、彼らの名前は至るところで目にします。ご多分に漏れず、彼らがFIREを知ったのはMr. Money Mustacheに巡り合ったときです。２０１２年のことです。それまで2人はITエンジニアとして長時間働き、家を買う頭金を作りました。ところが、２０１２年に、「３年後に１００万カナダドル（約１億円）を貯めて、Retireするぞ！」と決意してしまいます。2人はそれぞれ、３１才、３２才でした。その後、めでたくFIREし、その後は世界中を旅して廻っています。最近、“Quit Like a Millionaire”というFIREに関する本を出しました。

Vagabonda Buddha

高校を卒業後、大学へ行き、良い成績を取って高給が支払われる仕事を得る。結婚して、着々と貯金をし、家を買う。貯蓄も手堅く積み上げ、５５才でリタイヤできるほどの額に。絵に描いたような”理想的な”アメリカン・ライフでした。

ところが！！！

４５才の時に、考えて始めてしまったのです。「この後、何十年こんな同じ様な仕事をし続けるのだろう？ゆっくりと死に行進するような感覚・・・」

そして、そのとき、電話が鳴りました。「インドに２年間住んでみないか？」

何かも考えずに、YES! ２ヶ月後にはインドに住んでいました。

居住するインドから近隣のアジアの国へ短期の旅をし始め、目覚めてしまったのです、どれだけ自分が知らない食べ物が、見たことない人々が、想像もしなかった文化があったことを！

彼のウェブサイトでは、Awakeという単語を使い、彼自身を含めた「目覚めた人」について説明しています：深い！！！

They are living an awakening not only to the emptiness of pursuing an externally defined success but to the simple joys that arise in a present moment.

彼らは気付いている。他人が定義した成功を追うことの虚しさを、そして、この、今という瞬間から生まれる喜びを！

余談ですが、「他人が定義した成功」については、スタンフォード大学で行ったスティーブ・ジョブズも触れていました。「人生の中で、何が価値を持つのかを自分自身で定義する」のは、非常に大切ですね！

Our Rich Journey

この準備周到な2人は、政府の職員として働いていました。３０代のうちにFIREを知り、３９才で必要な貯蓄額に到達、みごと退職しました。

彼らのウェブサイトやYouTubeチャンネルでも多く語られていますが、彼らは様々なSide hustleをすることによって貯蓄を加速しました。Ebayでの物品販売、株式などへの投資、不動産投資など・・・

FIRE前、仕事の関係で海外での生活も多かった（日本にも住んだことがあります）彼らは、慎重にあらゆる面（物価、治安、教育、医療、金融、税金、言語、アメリカからの距離、文化、価値観など）から調査し、なんと、ポルトガルに家族で引っ越します。

FIRE家族にとって、CPI（物価指数）が低いことは非常に重要です。前述したように、ポルトガルでは政府が提供する医療制度も整っており、アメリカと比べると年間で何百万円の節約になります。

この続きは、Part 3でお楽しみ下さい！

Part 3：意外とできそうなFIREの実践方法

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