トヨタのプル型英語学習法 / Toyota’s Pull Production Method for English Learning

良いところでもあるのですが、悪い結果に結びつくことの多い、「日本式言語学習法」。←こんな専門用語は存在しませんが、日本人の多くが無意識にやっている学習法です。特に、言語の学習において犯してしまう間違いです。

「教科書は1ページめから始めなくてはいけない。1ページの次は2ページ,2ページの次は3ページ。飛ばしてはいけない。端から端まできちんと暗記しなくてはならない」という姿勢です。まるでお経を覚えるような、お金を数えるような、初心者がクラシックバレエの動きのパターンを一つ一つ覚えて行くような・・・

「言語は使うためにある」という前提で考えれば、上記のような「お経型学習法」に従う必要はありません。他の言い方をすれば、プッシュ型学習法。トヨタ生産方式を含め、プロダクション・マネジメントについて学んだことがあるあなたならピンと来たでしょ?(笑)乱暴に言えば、「予め(年度の最初とかに)一年の生産計画を立てておいて、その計画に従って部品を作って車を組み立てる」というSCMのアレです。需要については、その年の最初に計画を立てる時に考えますが、後はあまり気にしません。納入された/生産された部品をどんどん生産過程の下流に流します。だから、”プッシュ型”。見込み生産です。

日本人の英語学習法は、この方式が多いです。「目的は考えず、あなたが誰であろうと、とにかく1ページめから始めなくてはならない。1ページめの次は2ページめ。ページを飛ばしてはいけない。文部科学省/この本の目次が指し示す順で学習を進めなくてはいけない」

言語学習は、”プル型”にすべきです。”プッシュ型”の逆。ニーズが全ての始まりです。もしあなたがタイにバケーションに行くとしたら、タイ語の教科書(もし文部科学省発行のものがあったら、それを使うと仮定して 笑)の1ページめから暗記しますか?おそらくしないです。きっと、バケーション用の単文集のような薄い本を買って来て、その中の必要な文だけをピックアップするでしょう。これが、”プル型”学習法です。最初に”需要”ありきです。”需要”(その言語を使う必要性)に引っ張られて、”供給”(学習)が発生します。だから、どんな表現を学習すれば良いかが明確になる、つまり、効率性が高い、且つ、モチベーションが高まる、など多くの利点が発生します。

中学などで初めて英語を覚えるときでさえ、このプル型の方が優勢かも知れません。もちろん、英語について何も知らない彼らなので、文法については基礎から学ぶ必要があります。でないと、理解ができません。ただ、(ちょっと実験的になりますが)もし、その中学2年生の生徒のインテリジェンスレベルが高ければ、彼/彼女のその時の英語レベルよりも多少レベルの高い教材を使ってもいいと思います。もしそのサイエンスの本に、They should have invested research and development more than planned.のような文ができて、過去分詞の使い方が分からなければ、その時教えれば良いです。そのサブジェクトマターに興味があり、モチベーションがあるのなら、きっと彼/彼女は、それくらいの(英語学習上の)困難は乗り切ると思います。そして、どんどん実用的な英語と、世界中の知識を身につけて行くでしょう。

トヨタと聞いて、思い出しました。

「必要は発明の母」

英語学習に限らず、多くの学習行為については、こんな↓ことが言えるかも知れません。

「必要は学習の父」(笑)