分析と統合 / Analysis vs. Integration

コンサルティングを始めたばかりの頃は、「君の強みは分析だね」と言われると、ものすごく嬉しかった。何だか「あなたは天才だ」と言われたくらいのインパクトがあった。

年数を経て分かったのは、もちろん「分析」も大切だけれど、「統合」の重要さには及ばないということ。

なぜ「統合」が重要か?

究極的には、「プロジェクト全体の結論に直結する」から。例えば、クライアントからもらった資料やインタビューをして得られた情報を「分析」する。それが売上に関するデータなら、「地方別の売上」にリアレンジ/分析することもできれば、「製品別の利益率」にリアレンジ/分析することもできる。大雑把に言えば、「分析」は、大きな塊(情報やデータ)を細かく切り刻むことだ。

では、なぜ「統合」が難しいか?

データ(分析の成果物)に解釈を加えて、示唆を得て、ストーリーにまで組立なくてはならないから。しかも、その過程では、分析から得られたデータだけではなく、それまでのあなたの経験や一見関連の無い別領域の情報も動員する必要があるから。

私は良く、「統合」のプロセスを「作曲」に例える。2つは非常に似ている。

例えば、私が曲を書いて誰かに聞かせると、ほぼ必ず、「あっ、そのフレーズ、自分も以前思いついたことがある」とか、「そんな感じの曲、途中まで書いたことがある」というコメントをもらう。ただ、99%以上のケースで、彼らは曲を完成させていない。理由は、「フレーズ(4小節~8小節くらいの)」を思いつくことは、ほぼ誰でもできるけれど、それを、テーマ、メッセージ、ストーリー、展開の面白さ、以外さ、などを加味した「曲」という完成物まで組み立てるのは、そう簡単ではないから。

このプロセスでは、単に音符を並べてゆくスキルだけではなく、上記に書いたような「物語を描く能力」が求められる。更には、オーディエンスのペルソナを考えに入れたり、その時流行っている他のミュージシャンの作品も考慮しながら作品を書くというような「戦略的な思考能力」も求められる。

実は、「統合」の難しさと重要さは、多くの仕事に共通している。あなたの仕事で、「分析」と「統合」にあたるものは、何だろう?