Employment At Will / 「今すぐクビだ!」は可能か?

employment at will
  • アメリカ進出関係のプロジェクトを経験したあなたは、聞いたことがあるかも知れないですね。一方で、初耳だとう方も多いと思うので、まずは、Employment at willの正体を説明しましょう・・・
  • Disclaimer: (当然ではありますが 笑) この資料は、法律に関するアドバイスやコンサルティングの目的で書かれたものではありません。実際にアクションを取られる際には、弁護士などの専門家に詳細をご確認、ご相談下さい。念のため・・・
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employment at will
  • 驚かないで読んでみて下さい!(笑)
  • 一言で言うと、Employment at willという雇用上の取り決めの下では、「雇用主も雇われる側も、等しく、“いつでも雇用関係を打ち切る権利”を持ち」ます。理由は何でもいいです。無くても構いません。どうですか?平等でしょ?(笑)しかも、雇用主は、いつでもどんな理由でも、契約条件を変えることができます。驚きましたか?
  • そうです。Employment at willというのは、完全にPro-employerの取り決め(Arrangement)です。つまり、断然、雇用主に有利にできています。アメリカ(の企業)は、本気でこんな法律上の慣行を実行しているのでしょうか?
employment at will
  • Employment at willを取り入れている国は、アメリカの他、世界でも一握りの国しかありません。(資料によっては、「アメリカだけ」と言っています)世界のほとんどの国が、Indefinite Employmentです。(ヨーロッパは、その代表的な存在) ただ、アメリカでもMontana州だけは、このDoctrineを取り入れていません。
  • いくらアメリカが極端な国(笑)だと言っても、なぜこのようなEmployment relationshipを好むのでしょうか?
employment at will
  • リサーチしても、ずばりとその理由を見つけることは困難ですが、National Conference of State Legislaturesという団体では、こんな説明をしています。
  1. 「“自由な”契約関係を尊重するため」・・・まあ、否定はできないですね。Freedomがアメリカらしい。
  2. 「雇い主に気遣って」・・・よく分からないですね、2つの意味で。Deferenceという単語、あなたはこれまでどこかで見たことありますか?私は初めて遭遇しました。調べてみると、こんなSynonymが見つかります: respect, consideration, courtesy, (そして、何と)submission。よく分からないのは、単語のLiteralな意味だけではなく、なぜここで、Respect for employerという考え方が出てくるか、です。
  3. 「雇用主も雇用される側も、雇用の安定よりも、“任意の”雇用関係を好むから」・・・これに至っては、理解不能の域に達しています。(笑)項目1の“職業の自由な選択”的なトーンなら、まだ共感する(Resonate)余地がありますが、この項目「従業員は、いつでもクビにされる方を選ぶ」というのは、あまりにもFar fetchedな(取ってつけた)感じがします。
  • さて、ショックを克服して、このArrangementについて、Real worldでのApplicationの様子を見てみましょう。
employment at will
  • もしあなたが幹部社員でないなら、このSlideはさらにショックを与えてしまったかも知れないですね。(笑)実は、Employment at willは、ベースラインです。つまり、このArrangementの上に付加的なArrangementを乗せる分には何を乗せてもいいです。
  • 例えば、会社は、幹部社員(High-level employees, executives)との間で、個別に契約(Contract)にサインします。Performance bonus的なものから、Perks(Benefits、特別福利厚生: 車の支給、Financial advisoryの支給、Pension(年金)など)様々なものがあります。そうです!“平民”からは想像もできないItemsももらうことができます。もしかしたら、Problem-solverのあなたが知っているかも知れない(ちょっと特別な)Itemを挙げるなら、Golden parachute(MergerやTakeoverのケースにおいてDismissされる(辞めさせられる)場合には大金を受け取れる合意)などの条項を入れるのもこの契約です。
  • では、一般社員はどうなるのでしょうか?そうです。UnionなどでCollective (団体での)bargaining (ネゴシエーション)agreementをします。そうすることで、Randomな首切りを許さない合意をする努力をします。Cause(=不法行為など何か悪いこと)をした場合のみクビになります。
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  • At will employmentにも例外条項があります。(ちょっとは安心!笑)つまり、これらが当てはまるケースでは、例えEmployment relationshipがAt willであってもクビにされることはありません。ちょっと細かい話ですが、この例外事項は、2種類の法律に渡ります。
  • 1つは、Common lawに関わる条項です。Common lawとは慣習法です。慣習や前例をベースになり立っている法律です。その反対が、制定法です。これについては、次のSlideで説明します。
  • 更に、Common law領域の中に3つの例外事項があります。1つ目は、従業員がPublic interest(社会にとって良いこと)を守ろうとした場合のExceptionです。その場合には、従業員をクビにすることはできません。例えば、法律に触れるような行為を会社が強要する。それを従業員が拒んだ場合などです。また、会社が犯した犯罪行為をレポートした社員をクビにすることももちろんできません。
  • 2つめは、Implied contractです。(例えば、「Randomにはクビにしないよ」という)口約束やそれに近いことがハンドブックに書いてある場合、At willの例外と見なされます。
  • 3つめは、Implied covenant of good faith and fairに関わるExceptionです。雇い主の悪意から従業員をクビにすることはもちろんできません。例えば、会社が負担する年金出資を削減するために年齢が高い従業員からクビにする、という類です。もっとあからさまなのは、Commissionで雇われているSales staffをCommissionの支払い直前に解雇する、などです。
  • こう見て行くと、「従業員を守ろうとするExceptionも結構あるなぁ」と思いたいところなんですが、どれも証明することが結構難しい場合が多いのが難点です。例えば、2つめのImplied contractですが、Courtで競うとなると、きっと会社側と従業員は、「言った言わない」(He said she said)合戦にもつれ込むでしょう。更に、結局は、長期に渡って裁判費用を許容できない従業員には不利かも知れません。
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  • 前のCommon lawの下での例外事項に加えて、今度はStatutory(制定法)下での例外事項です。例を挙げるなら、United States CodeやUnited States Code Annotatedなど。
  • こっちの方は、単純で(Straightforward)、1つめのIllegal discriminationの方では、Race, color, religion, sex, national origin, age, disability or veteran statusによって差別(クビに)してはならない、です。これは、何となく聞いたことがあるかも知れないですね。The Civil Rights Act of 1964がベースになっています。州によっては、これらの項目に、Sexual orientationを加えています。
  • そしてもう一つの領域が、Retaliationです。例えば、E-commerce企業のWarehouse勤務者が職場環境の劣悪さ(poor working condition / environment)をMediaに訴えてクビにされた(と本人が解釈している)ケースがありました。このような、Whistleblower(内部通報)のケースでは、At willが適用されません。
employment at will
  • さて、ここまで読んだ頂いて、Employment at willがどんなものかご理解頂けたでしょうか。
  • ここからは、Absolute GAMBITならではのおまけです!(笑)
  • 例えば、あなたがNYで仕事をするとしたら、Employment at willによるJob insecurityの上に、こんなような数々の精神的、経済的、身体的負担が襲いかかってきます!(笑)
  • State taxやLiving costsは何となく想像して頂けると思うのですが、High medical costsは解説が必要かも知れません。
  • アメリカは先進国の中で政府が運営する医療保険が無い唯一の国です。つまり、あなたが病院に行くときに使う保険が、一般企業(もちろんfor profit)によって提供されています。(日本で言う“XX生命”などだけが医療保険を提供しているイメージです)(収入が一定額以下の層やリタイヤ組に対するものは政府が提供しています) ですので、誰もが医療保険に入れるわけではありません。また、高額な薬のせいもあり、アメリカの医療費は、GDPの約20%の額まで到達してしまいました。言い換えると、国民一人当たり、100万円弱になります。(日本は、その半分くらい)
  • 実際のところ、4,400万人の人が全く保険に加入していません。更には、3,800万人の人々が、不十分なカバレッジしか受けていません(例えば、歯科にはかかれないなど)。ということは、アメリカ人の1/4程度が、満足な保険に加入していません。これが、Medical costsの現実です!
  • さて、この最後のページは、あなたを脅すことが目的では全くありません!(笑) ただ、この“興味深い”アメリカに関する現実を共有させて頂きたかっただけです。Employment at willは、それだけが真空の中で存在しているわけではなく、上記のようなBig pictureの中に置いて解釈した方がいいと思います。
  • アメリカで働く意志がちょっとだけ萎えましたか?いえいえ、何にでも困難はつきものです。そして、Challengesは人を大きく育てます!もちろん、アメリカの現実(上記のように厳しい)は、変えることができません。ただ、得られる経験も大きいです。(経験談) だからこそ、(At will employmentなのにも関わらず)世界から多くの優れた人材が集まり続けているのだと思います。
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