Ear worm / 耳の虫

ear worm

名前だけ聞くと、何だ耳の中がかゆくなりそうです。この単語聞いたことありますか?あまり聞かないですよね?

「耳の虫」。耳の中に住んでいる虫です。あなたの耳にもいると思います。どんな姿をしているんでしょう?(What does it look like?)ちょっと調べてみましょう。

ところで、発音は、「イヤーワーム」です。いつものようにスペリングと発音が合ってない!(笑)

実は(というか、あなたはとっくに気づいていたかも知れないですね!笑)これは、本当の(Literal)虫ではなく、虫“のような”(Metaphorical)ものです。

一度(場合によっては数回)聞くと、耳から(頭から)離れなくなる曲とか曲の一部とかPhraseとかありませんか?

元々ドイツ語から派生(stemmed from / came from)しました。

例えば、ヒットから30年以上経つのに今も時々聞かれるこの曲。あなたもきっと知っていると思います。一度聞いたら頭の中でづっとなりつづけます!・・・ https://youtu.be/VcjzHMhBtf0?t=205

耳に残る(get stuck)と言っても、きっと実際のメカニズムはそんなに単純ではないはず!果たして、この“虫”は、私たちの頭の中のどこに住んでいるのでしょう?

Earwormは、Phonological loopという仕組みに“住んで”います。これは、言語や音楽どの音声情報を扱う器官です。

Phonological loopが位置しているAuditory cortex(聴覚皮質)は、Temporal lobe(側頭葉)の中にあります。

言葉で説明しても得られるのは英単語の知識(Cortex=皮質、Temporal=側頭の)くらいなので(笑)、実際、脳のどこに位置しているかを視覚的に見てみましょう。

ear worm
  • おっと分かりやすい!

Phonological loopは、言語習得、特に“話す”スキルに関しては非常に重要な役割を果たしているのが分かります。

それは、昔で言うと“録音(カセット)テープ”(笑)、今で言うと“メモリーチップ(音声記憶用)”のような機能を持っています。更に分解すれば、その機能は以下の2つです:

  1. 音声情報を蓄えておく機能
  2. (実際に発話する前に)話そうとする内容をリハーサルする機能

特に2. は、注目に値しますね!例えば、誰かのモノマネをしようとすると、実際に声を出す前に頭の中にその人の声が聞こえませんか?あの現象は、Phonological loopがやっています。(これを活用した英語スピーチ・トレーニング法がGAMBIT Speakです)

私たちが電話番号やアクセスコードを暗記しようとする際に使っている機能です。

(実は、「モノマネをしようとするときその人の声が頭の中で聞こえる」のは私だけかと思っていました。(ちょっと頭がヘンなのかも、と!笑)ところが、リサーチをしているうちに、Phonological loopに関するいくつかの論文を見つけ、「なるほど~」と感動、そして安心したわけです・・・)

脳の働きについて興味があるあなたは、既に(人間の脳の)MemoryのBehaviorについてはある程度の知識をお持ちかも知れないですね。

この分野に関して比較的新しいあなたのために、ちょっとShort-term memoryについて説明して簡単におきましょう。

この図は、“情報”(感覚器官(Sensory input)からの)が入って来て、それがShort-term memoryとして受け入れられ、その後Long-term memoryに変換されるプロセスを示しています。ただ、私たちの誰もが経験しているように、全ての情報が記録されるわけではありません。感覚器官から入って来た情報は、意識することによってShort-term memoryまでは行きつきますが、その後Long-term memoryに落とし込まれる(Convert)までには“Rehearsal”が必要です。つまり、何度も繰り返さないと忘れてしまう確率が高いということです。PCに例えて言えば、Short-term memoryはDesk top、Long-term memoryはHard diskに似ているかも知れません。

ただ、音声入力(音楽や言語)は、上記の“一般論”(Normal process)とはちょっと異なっていて、Short-term memory、Phonological loopに長く留まっていることがあります。これが、Ear worm現象を起こすのです。これは驚き!

前のSlideまでで見て来たように、なぜ、音声入力だけが “特別なBehavior”をするのでしょうか?

その昔、また文字や本が存在する前は、人間は情報を口頭だけで伝えていました。その貴重な情報を確実に蓄積し、且つ、必要なとき活用できるようにそうなったのではないかと思います。Daniel Levitin(心理学、行動脳科学)も同様な論を呈しています。

これを読んで、もしかしたらあなたは、「古代はそうだったかも知れないけれど、現代は情報を紙とか携帯(Cell phone)に文字で記録できるから、今の時代、その能力はもう要らないかも・・・」と思われませんでしたか?

ところが、です!

なんと、世界に存在する言語のうち、その半分(3500くらい)が、Written formを持ちません!つまり、紙やCell phoneに記録することができないのです!(この数はちょっと驚きですね・・・)

そして、Africaの言語の大多数がWritten formを持っていない!

ということは、音声で記憶/記録しておくAbilityは、多くの人間にとっては今も重要なAbilityだということが言えます。

ちょっと余談ぎみになりますが・・・(This is off the subject / topic, but…)

音楽は、脳の広範囲に刺激を与えます。最近よく聞かれるようになりましたが、Alzheimerの治療でもMusic therapyは良く使われます。

私自身の経験でも、Musicを聞くと意欲と集中力が高まります。私だけかも知れませんが、英語でのPep talkも同様の効果を感じます。例えば、ObamaのSpeechはすごくリズムがあって(もちろん計算されてそう書かれたのですが)、まるで音楽のようで、AudienceがInspireされる大きな効果がありましたね。仕事やジムでのトレーニングの前に聞くと効果があります!(笑)

Earwormの住処(Location)、性質(Behavior)、機能(Function)を説明しました。

音楽や言語と人間の脳の不思議な(Unexplainable)関係を感じました。非常に面白いですね。

この“虫”、私たちProblem-solverとしては、是非、英語のスピーチ・トレーニングにも活用したいものです!

ご質問やコメントなど、お持ちでしたらどうぞお気軽に!